幼稚園・保育園の先生方へ(日本人の家族や友だちの方も見てください!)

家庭と幼稚園・保育園が協力して子育てをするために、外国出身の保護者とコミュニケーションをとる際に気を付けた方がいいことをいくつか紹介します。

1.来日後まもなく入園した保護者の場合

小さい子どもを連れて来日した保護者、来日して間もなく出産した保護者の場合、初めての日本での生活、初めての子育て、初めての日本の幼稚園・保育園というように、いくつもの「初めて」が重なります。外国での生活は、特に初期はわからないことだらけでストレスが多いものですが、そこに子育てが加わることで保護者としても大きな不安を抱えることになります。また、日本に来たばかりの頃は日本語があまりできないという人がほとんどです。そんな保護者には先生方の方から積極的に声をかけてください。

2.日本語ができない保護者には

  1. 入園時の面談

    日本語ができない保護者の場合、入園時の面談には通訳をつける必要があります。保護者の家族や知り合い、同じ国出身の人、地域の国際交流団体の支援員などの協力が得られるかどうか確認してください。ただし、家庭の事情を同国人にはあまり知られたくないという保護者や、親切心から質問以上のやりとりを進めてしまう通訳者もいますので、通訳を選ぶときには注意が必要です。

  2. 日常のコミュニケーション

    まずは日常のあいさつから始めましょう。日本語ができない保護者には、保護者の母国語であいさつすると喜ばれますし、先生方の受け入れの気持ちが伝わるでしょう。

    各国語のあいさつ「山形県外国人児童生徒受け入れハンドブック」より
    http://www.yifa.jp/yamagata-gaikokujinjidou-handbook/3_3.html

    そして、子どもの様子を伝えるときには、短い文で、ゆっくりはっきり話します(ただし、ある程度、日本語ができる人に対して、過度にゆっくりはっきり話すと、相手は馬鹿にされたと感じることがあるので注意が必要です)。また、文の終わりを「~かな…」のようにあいまいにしないで、「~です」「~ました」のようにはっきりと言い切りましょう。

    敬語はほとんど必要ありません。「です」「ます」で十分です。家庭に日本人がいない場合は、方言を知らないこともあるので使わない方がいいでしょう。相手の様子を見て、わかっていないようだったら、簡単な言葉にしたり別の言葉で言い換えたりしてください。

    あいまいな言い方、遠回しな言い方は、誤解を招くこともあります。保護者にお願いしたい場合は「~してください」、許可できない場合は「~できません」「~しないでください」など、日本人同士では「きつい」と感じるはっきりした言い方の方が、意味が正確に伝わります。


    「(子ども)は、もっとご飯が食べたいようです」→「お弁当のご飯を増やしてください」
    「出欠表が見当たらないのですが…」→「出欠表はもう出しましたか?」

    持ち物や行事について伝えるときには、実物を見せる、絵を描いて示す、ジェスチャーをつけるなど、言葉以外の方法も活用しましょう。

    その保護者がどのぐらい日本語ができるのかを観察し、適切で効果的な伝え方をしてください。

  3. お便り

    日本語を話すことができても、読み書きが得意ではないという人は大勢います。保護者によっては、お便りの内容が伝わっているかどうか確認した方がよいことがあります。また、お便りの大切な言葉にふりがなをつけたり、漢字を使わない国の人のためにひらがなやローマ字で書いたりする、読んでほしい部分に下線を引くなどの配慮があれば、大きな助けとなります。

  4. 連絡帳

    上で説明したお便りに関する配慮は、先生方が連絡帳を書く場合も同様に必要です。中国や台湾出身の保護者には、漢字で書くことでわかることもありますが、「手紙」(中国語では「トイレットペーパー」の意味)や「先生」(中国語では「~さん」の意味)、「野菜」(中国語では山菜など野生の食用植物の意味)のように、違う意味を持つ言葉もあるので、注意が必要です。

    外国出身の保護者に対しては、まず、連絡帳にはどんな役割があり保護者はどんなことを書けばいいのかということを伝えてください。それでも、連絡帳に書く(=外国語を書く)ことは大きな負担です。ほとんど書かないからと言って、園の活動や子育てに無関心だというわけではありません。このような保護者の場合は、顔を合わせてコミュニケーションをとることがさらに大切になります。また、同じ事を繰り返し書いたり、意味がよくわからないことをだらだらと書いたりしている場合は、子どもに関する不安や心配が解消されていないサインかもしれません。保護者の話を聞く場を設けるなど、保護者の気持ちをくみ取るための働きかけをしてください。

  5. 保護者仲間

    先生方以外に、気軽に子どものことを話したり、子育てについて相談したりできる保護者仲間がいると心強いものです。でも、外国出身で日本語に自信がない保護者は、なかなか自分から話しかけることができません。日本人の保護者も、自分から積極的に外国人に話しかけるという人はなかなかいないかもしれません。

    そんなときは、先生が役員の保護者にあらかじめ外国出身の保護者のことを伝えておいたり、面倒見のよさそうなお母さんに声をかけておいたりすると、保護者仲間が作りやすくなります。たとえば、親子行事の準備で何かできそうな仕事や役割をふる、受け入れてくれそうなグループに入ってもらうなど、共通の体験ができるための配慮があるといいでしょう。

3.子育てに関する習慣や考え方の違い

「服装や持ち物をそろえるの?」

子育ての習慣や考え方には、国によって違いがあります。たとえば、服装や持ち物をそろえるという習慣のないところもあります。そうした国の出身者には、みんなが同じ物を持つことに抵抗を感じる人もいます。保護者とよく話しあい互いの考え方をまずは理解すること、園の方針に協力してもらうよう働きかけることが必要です。同時に、子どもの安全を守るうえで許可できないことや、園の生活に支障をきたすこと以外は「大目にみる」等の配慮が必要になります。

「薄着だと風邪をひくでしょ!」

日本の幼稚園・保育園では裸足保育を実践しているところがありますが、それに違和感を抱く保護者がいます。出身国にくらべると子どもたちに薄着をさせることに驚く保護者がいます。その背景には考え方や習慣の違いもありますが、子どもが体調を崩すと仕事を休まなければならないことに対する心配もあるようです。園の方針を十分に理解してもらうこと、体調が万全でないときは配慮していることなどを丁寧に伝える必要があります。

「お弁当って何?なんのため?」

冷たい食事は健康によくないと考える国やお弁当の習慣がない国もあります。こうした国から来ている保護者は、お弁当に何を入れたらいいかわからない人や、みんなでお弁当を食べる楽しさを知らない人もいます。言葉で説明するよりも、園のお弁当開きに実際に参加して一緒に食べたり、みんなのお弁当を見てもらったりするなどの体験の方が効果的な場合もあります。

「子どものことは園にお任せ」

幼稚園や保育園に費用を払っている以上、保護者は何もする必要がないと考えるところもあります。そうした国から来ている保護者は、幼稚園・保育園と家庭とが連携して子育てをするという考え方にとまどい、園の行事やPTA活動などに積極的にかかわらない人がいるかもしれません。園には、長い目で見て、保護者の意識が変わるような働きかけを続けていくことが求められます。

「役員って何?」

日本語ができない保護者や、日本に来たばかりで日本の幼稚園・保育園に慣れていない保護者にとっては、役員はかなりの負担になります。逆に、積極的に関わりたいから役員をやってみたいと考える保護者もいます。いずれにしても、あらかじめそれぞれの状況や考えを聞いたうえで、役員になってもらうかどうかを判断してください。また、役員になってもらう場合には、他の日本人の役員の理解や協力も大切です。

「日本人には当たり前かもしれないけど…」

日本人にとっては当たり前の習慣でも、それが保護者の出身国にはないということはよくあります。例えば、食事の前に「いただきます」と言う習慣がない国の保護者の場合、子どもも「いただきます」を言わずに食べ始めてしまうということはあります。そんなときには、即座に「しつけができていない」という判断をするのではなく、文化や習慣の違いによる可能性を考えてください。文化や習慣の違いが原因の場合には、失敗や間違いを大目に見ることや、日本人にとっては当たり前のことでも丁寧な説明が必要だということを思い出してください。

4.外国出身の保護者に言ってはいけない一言

「(保護者の母国語)なんか、子どもに習わせなくてもいい」

この言葉を言われて傷ついたお母さんがいます。だれにとっても母国語は大切なものです。それを子どもにも教えて母国語で親子のコミュニケーションをとりたいというのは、親としてごく当たり前の気持ちです。

また、日本語にあまり自信がないから子どもに話しかけないというよりは、母国語でもいいからどんどん話しかけた方が、子どものことばの発達にはよいという研究結果もあります。外国出身の保護者を持つ子どもは、複数の言語、複数の文化に触れることができると前向きにとらえてみてください。

母国語以外にも、母国の習慣や保護者の宗教を否定するような発言も控えましょう。

「外国人のお母さんだから、わからなくても仕方がない」

特にアジア出身の人で、こう言われるのがいちばん辛いというお母さんは多いです。自分が外国出身だというだけで子どもに何か不利になるのではないか、母親の出身のせいで子どもがいじめられるのではないか、子どもにハンデを負わせたくないと思い、常に緊張状態にいるのです。たとえなぐさめるつもりでも、このような言葉をかけるのは控えた方がいいでしょう。むしろ、折に触れて「わからないことは何でも聞いてほしい」という姿勢を伝えてください。

また、他の保護者からこの一言を言われて傷つく場合もあります。外国出身というだけで、その保護者を色眼鏡で見るのではなく、同じ保護者として子どもたちをみんなで温かく見守ろうという意識は大切です。

5.まずは「書こう」という姿勢を認めましょう!(日本人の家族や友だちの方も見てください)

外国語を書くというのは、話したり聞いたりすること以上に難しいものです。間違いが残ってしまう怖さもあります。英語を勉強したときのことを思い出すと実感できるでしょう。ですから、外国出身保護者が連絡帳に書こうとする姿勢を見せたら、まずはそれを認めてください。

家族の方は「どうせ間違えるんだし…」「間違えたら恥ずかしいよ」など、書いてみようという意欲を削ぐようなことは決して言わないでください。

「旦那さんに書いてもらえばいいじゃない」「子どもさんの方が日本語ができるんだから、子どもさんに書いてもらったら?」などの発言も止めましょう。外国語を書くなんて大変なことをわざわざしなくても…という思いやりから出た言葉であっても、自信を失わせる結果になってしまいます。

印鑑や名前、「ありがとうございます」や「すみません」など、少しでもいいから書いてみるように促してください。がんばって書いたときには、それをほめたり書いたことに対する感想を言ったりするなど、必ず反応を示してください。

園の先生方であれば、返事を書いたり、お迎えに来たときに保護者が書いたことに触れたりしてみてください。それは大きな励みになるでしょう。また、たとえ間違いがあっても意味に影響がなければ指摘しないでください。間違いを直してほしいと頼まれたときには、相手の様子を見ながら教えてあげるといいでしょう。

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